前回は、ポジティブ脳になるための7つのスモールステップをご紹介しました。
今日は、そのステップの中でも2番目と3番目の、
「ネガティブな思考は役立つもの、役立たないものに分ける」
「役に立たないネガティブ思考は捨てる」
ということに関してまとめてみます。
人間の脳内にネガティブな思考が浮かんでくるのは、
危機回避する上で必要なので、自然なことなんだと、前回ご紹介しました。
日々6万回思考は浮かんできていて、その7〜8割はネガティブなこと。
じゃあ、それをどう処理していけばいいのか、という話が今回のテーマです。
浮かんでくるネガティブな思考に振り回されることほど、
気分を落ち込ませるものってないですよね。
人は、進化の過程で「虚構」というものを扱えるようになった、
と「ホモサピエンス全史」では言っていますが、
虚構とは、要はフィクションです。
過去に起きたことの解釈も虚構だし、
未来に起きるかも、と考えることも虚構です。
人は、その過去や未来の虚構に、つい思考が持っていかれてしまいます。
「あー、ここはこうしたら良かったかなぁ。」
「この後はこんなことが起きるだろう」
「あの人、こう考えているかもしれない」
これらは全部、現在には起きていないこと。
そして解釈は自分次第で変わるという、代表的な虚構の例ではないでしょうか。
ありもしないことに、人は思考が持っていかれているわけです。
そんなものが1日6万回も繰り返されていたら、
そりゃー脳は疲れますよね。
特に、人類史上、こんなに情報に溢れた時代は初めてなんじゃないでしょうか。
だから、脳を休めたり、リセットするために、
「今、ここに集中する」瞑想がブームになっているのだと思います。
そしてその6万回の思考の内のネガティブ思考をどうするか、ですが、
1.役に立つネガティブ思考
2.役に立たないネガティブ思考
に分別するのがオススメです。
1.役に立つネガティブ思考とは
これから先に起きうる不安に対して、
「対処方法が思いつくもの」です。
「こんな場面が来たら最悪だ」⇨「こう対処したらよさそうだ」
と考えられるもの。
これが、人がネガティブ思考を7〜8割もしてしまうことの最も大事な意味である、
「危険を回避する」ということを実現するための思考です。
「明日は雨が降ったらまずいな」⇨「傘を持って行こう」
ということに始まり、
「仕事でこんな事態に遭遇したら損失が大きいぞ・・・」
⇨「そのリスクを回避するために、第2の策を練っておこう」
といったことまで、
対処方法を考えることで、リスク回避になるものです。
一方、2.役に立たないネガティブ思考とは、
「対処方法の浮かばない、漠然とした不安」です。
・お金がなくなったらどうしよう
・病気になったらどうしよう
・あの人に嫌われたらどうしよう
・この人はこう思っているかもしれない
とか、「ならない方法を考える」ということをすればリスク回避になるものだと思いますが、中には自分にとって答えの出ないものもあります。
それがぐるぐるずーっと脳内を占有してしまっているようでは、
本来自分が発揮できるはずのパフォーマンスを発揮する余地がなくなります。
こういう類のネガティブ思考は、
本当に解決方法を生み出したいと思っている時には、
堂々巡りしないものだったりします。
ぐるぐると同じところを巡ってしまうのは、
・自分はその事柄に対して考えたくない(答えを出したくない)と思っている
・問題の本質が捉えられていない
・そもそも、事実と解釈を分けて捉えられていない
と言ったような原因が考えられます。
その場合には、「今考えるべきことではない」と自分が心の底で思っているんですね。
そんな時は、一旦手放して、考えるのを辞めてみるのもありだと思います。
よく言う、「悩むと考えるは違う」というのは、そういうことです。
悩むことは、自分にとっては、ある意味どうでも良いことだということ。
それがもし、自分軸と呼べるような価値観に抵触するような重要な悩みだったら、
自分の脳が勝手に必要な情報をかき集めてきて、
「私はこうしたい」と結論がある程度出てきます。
特に厄介なのが、「事実と解釈が分けられていない」時。
人の発言や行動に対して「こういう意味かもしれない」と、
自分で勝手に解釈して悩んでしまう人が、たくさんいます。
「察する」「空気を読む」のが得意な日本人だからでしょうか。
でも、人の考え方って本当に様々で、
自分と同じ捉え方をしていることの方が少ないです。
それを相手に確認せずに、「こう思ってるかも・・・!」と考えるのは、
一番生まれがちで、一番不毛なネガティブ思考なんです。
ネガティブ思考に悩まされている方は、
この「事実と解釈を分ける」ということから始めると、
かなり楽になれます。
・・・今、「ネガティブ思考に悩んでいる方」と書きましたが、
ネガティブ思考に「悩んでいる」のも、
ここで言うと「手放した方が良いもの」になりますね^^
なぜなら、ネガティブ思考が生まれることが自然だと思えていなくて、
自分だけがそんな思考なんだという「虚構」に悩まされていたり、
ネガティブ思考は悪、という「虚構」に悩まされていたりするかもしれないからです。
そして、ネガティブ思考に悩み続けているのであれば、
ネガティブ思考であることに、自分がメリットを感じているかもしれません。
ネガティブ思考でいることで、
傷つかなくて済むと思うことがあったり、
自分を守れていると思うことがあったり。
手放せない習慣には、何かしら自分にとってのメリットがあるんですよね。
自分では気づいていないだけで。
その場合には、その嫌だ、と思っている
ネガティブ思考のメリットを一度考えてみると、
自分の知らなかった気持ちに気づけるかもしれません。
ネガティブ思考は悪じゃない、
でも、役に立つものと立たないものに分別すると、
心はとっても楽になります、というお話でした。